いすのあゆみ

日々の記録です。

いまのこと

冬から春に移りゆく。

ぼくはこの時期が好きだ。家の中と外のあたたかさは変わらない。上着もいらない、半袖になることもない。身体に身につけているものは、分厚くもなく薄くもない。ちょうどいい。地球がぼくを歓迎してくれているような気持になる。

 

リビングのソファに正座をして、ぼくは本を読んでいる。そんなとき、たいてい犬はぼくの右横にもぐり込んでくる。ぼくの腕と横腹のあいだに身体をいれてくる。そして、1周するかのように身体を動かし、こちらにお尻を向けてくる。ぼくに身を任しているみたいに。

でも、たまに犬はソファに上らない。ぼくの目に入るように前で座り込む。これは、「散歩に連れていけ」の信号を出している。いや、「散歩に連れて行ってやろう」かもしれない。そのとき、ぼくは本にしおりを挟まず、開けたまま横に置く。そして、立ち上がると、犬は首をぴくっとさせる。玄関に向かうと、後ろからカタカタカタと爪音が聞こえてくる。

玄関のドアを開け、いぬと共に外へでる。地球がぼくたちを迎えてくれる。でも、世界は違うかもしれない。